モルタル外壁のひび割れ・クラック|原因と補修方法を塗装職人が解説

モルタル外壁を見ていると、細い線のようなひび割れや、大きく開いたクラックを見つけることがあります。

外壁にひび割れがあると、

「このまま放置して大丈夫?」

「雨漏りにつながらない?」

「塗装すれば直る?」

「補修だけで済むのか、全面塗装が必要なのか?」

と心配になる方も多いと思います。

しかし、モルタル外壁のひび割れは、すべて同じ原因で発生しているわけではなく、すべて同じ方法で補修すればよいものでもありません。

ひび割れの幅や深さだけでなく、発生している場所や形、動きの有無、モルタル下地や既存塗膜の状態などを確認し、その建物に合った補修方法を考えることが大切です。

また、小さなひび割れがあるからといって、必ずしも外壁全体を塗り替える必要があるとは限りません。

このページでは、実際に住宅の外壁補修・塗装を行う塗装職人の立場から、モルタル外壁にひび割れが起こる原因、確認したいポイント、補修方法、塗装が必要になる場合について解説します。

モルタル外壁はなぜひび割れるのか?

モルタル外壁は、セメント・砂・水などを使ってつくられる外壁です。

硬く丈夫な材料ですが、乾燥による収縮や建物の動きなどの影響を受けることで、ひび割れが発生することがあります。

ひび割れの原因は一つではありません。

乾燥による収縮

モルタルは施工後、乾燥していく過程で収縮します。その影響によって細かなひび割れが発生することがあります。

建物の動き

建物は風や地震、温度変化などの影響を受けてわずかに動きます。こうした動きが外壁に伝わり、ひび割れとして現れることがあります。

窓やドアなど開口部の周辺

窓やドアの角などは力が集中しやすく、斜め方向などにひび割れが発生することがあります。

下地や施工状態の影響

モルタルそのものだけではなく、その下にある下地の状態や施工方法などが、ひび割れに影響している場合もあります。

経年による劣化

長期間、雨や紫外線、温度変化などの影響を受けることで、仕上げ材や塗膜が劣化し、ひび割れが目立つようになることもあります。

このように、同じ「ひび割れ」に見えても原因はさまざまです。

そのため、ひび割れを見つけたときに大切なのは、ひび割れを埋めることだけではなく、「どこに・どのように発生しているのか」を確認することです。

原因や建物の動きを考えずに表面だけを補修しても、同じ場所に再びひび割れが発生したり、力のかかり方によっては別の場所にひび割れが現れたりする場合があります。

だからこそ、補修材でひび割れを埋める前に、ひび割れの形や方向、発生している場所、周囲の状態などから原因を考え、その原因に合った補修方法を選ぶことが重要です。

ヘアークラックと注意したいひび割れの違い

モルタル外壁のひび割れには、髪の毛のように細い「ヘアークラック」と呼ばれるものから、幅や深さのあるひび割れまでさまざまな状態があります。

ヘアークラックは、表面の仕上げ材や塗膜などに発生している比較的細かなひび割れを指すことが多く、すぐに大掛かりな補修が必要とは限りません。

一方で、ひび割れがモルタル下地まで達している場合や、窓の角から斜めに伸びているもの、同じ場所で繰り返し発生しているもの、ひび割れの幅が広がっているものなどは、表面だけではなく原因を含めて確認した方がよい場合があります。

ひび割れの幅も判断材料の一つですが、「○mm以下なら大丈夫、○mm以上なら危険」と幅だけで判断することはできません。

実際の現場でも、表面から見るとごく細いひび割れに見えていたものが、補修のために周囲を削って確認すると、内部では想像以上に大きくひび割れていたというケースは意外と多くあります。

そのため、表面に見えているひび割れの幅だけでは、内部の状態まで判断できないことがあります。どこに発生しているのか、どの方向に伸びているのか、深さや動きはあるのか、周囲に浮きや剥がれなどがないかを含めて確認することが大切です。

特に雨水が入りやすい場所に発生しているひび割れは、幅が小さく見えても放置せず、一度状態を確認しておくと安心です。

モルタル外壁のひび割れはどう補修する?

モルタル外壁のひび割れ補修は、すべて同じ方法で行うわけではありません。

表面的な細かなひび割れであれば、状態を確認したうえで下地調整材などによる補修で対応できる場合があります。

一方で、モルタル下地まで達しているひび割れでは、クラック部分をUカット・Vカットして補修材を充填する方法や、状態によってはエポキシ樹脂などを注入して内部を補修する方法などがあります。

また、建物の動きなどによって再び開く可能性があるクラックでは、硬い材料で埋めればよいとは限りません。ひび割れの原因や動きを考え、使用する材料や補修方法を選ぶ必要があります。

さらに重要なのが、ひび割れの周囲まで傷んでいないかを確認することです。

クラックから水が侵入している場合、表面に見えているひび割れだけではなく、その周囲のモルタルまで脆弱になっていることがあります。

その場合は、傷んだ部分を残したまま表面だけを補修するのではなく、脆弱になった部分を取り除き、必要な範囲まで下地を補強してから復旧します。

補修後は、リシン・吹き付けタイル・ジョリパットなど既存外壁の模様や質感に合わせ、補修した部分ができるだけ周囲になじむように仕上げていきます。

補修の目的は、ひび割れを見えなくすることではありません。原因と傷んでいる範囲を確認し、必要なところまで直すことが大切です。

実際の現場では、表面のひび割れだけを見て判断しません

長谷川塗装工業では、モルタル外壁のひび割れを確認するとき、まずクラックの幅や大きさを確認します。

そのうえで、必要に応じてタガネなどで表面を少し掘削し、ひび割れが塗膜や表面の仕上げだけで止まっているのか、それともモルタル下地そのものまで達しているのかを確認します。

実際の現場では、表面から見るとごく細いクラックでも、削ってみると内部では大きく割れていたというケースも少なくありません。

モルタル下地までひび割れている場合、その割れから水が入り込んでいることもあり、クラックの周囲まで脆弱になっている場合があります。

そのような場合は、表面だけを埋めて終わりにするのではなく、脆弱になった部分を取り除き、必要に応じてクラック部分をUカット・Vカットしたうえで、下地の補強からやり直します。

さらに水の侵入が強く、ひび割れというよりモルタル外壁そのものが欠落するような状態では、その奥にある木下地まで傷んでいないか確認することもあります。

木下地まで腐食していれば、外壁表面だけを補修しても根本的な修繕にはならないため、必要に応じて木下地から修繕して外壁を復旧します。

大切なのは、見えているひび割れだけを直すのではなく、「どこまで傷んでいるのか」「なぜそこが割れたのか」を確認して、必要なところまで戻って修繕することです。

ひび割れがあったら外壁全体を塗装する必要がある?

モルタル外壁にひび割れが見つかったからといって、必ずしも外壁全体を塗装する必要があるわけではありません。

ひび割れが部分的で、周囲のモルタルや既存塗膜の状態が良ければ、必要な箇所だけを補修して経過を見ることができる場合もあります。

一方で、外壁全体に多数のひび割れが発生している場合や、既存塗膜の劣化・浮き・剥がれなども同時に進んでいる場合には、部分補修だけではなく、下地補修を行ったうえで外壁全体の塗装を検討することもあります。

また、クラックから水が侵入し、モルタル下地やその奥まで傷んでいる場合は、塗装より先に傷んだ部分の修繕が必要です。

「ひび割れがある=全面塗装」ではなく、まず原因と傷んでいる範囲を確認し、その家に必要なところだけを直す。

長谷川塗装工業では、この順番で修繕方法を考えています。

ただし、最終的な補修方法は建物の状態だけで決めるものではありません。

お客様のご予算や、今後その建物をどのくらい維持していきたいのか、今回どこまで修繕するのか、今後も定期的にメンテナンスをしていくのかなどによって、現実的な選択肢は変わります。

例えば、今回できる範囲を優先して補修し、残りは経過を確認しながら次回のメンテナンスで対応するという考え方もあります。

長谷川塗装工業では、一つの工法を押し付けるのではなく、建物の状態・補修の必要性・ご予算・今後の維持計画をお客様と慎重に話し合ったうえで、最終的な施工範囲や補修方法を決めています。

実例|ひび割れの奥で木下地まで腐食していたケース

こちらは、実際に長谷川塗装工業で修繕したモルタル外壁です。

外壁には大きなひび割れが発生しており、周囲の状態を確認しながら傷んだモルタルを撤去していきました。

外壁を開いて内部を確認すると、木下地まで腐食が進んでいる状態でした。

この場所はちょうど浴室のサッシまわりで、サッシにたまる結露の水滴や雨水が流れ込みやすい位置でした。長年にわたり同じ場所へ水が入り続けたことで、モルタルの裏側にある木下地まで傷みが進んだと考えられます。

この状態で表面のひび割れだけを塞いでも、内部の腐食した木材は元には戻りません。

そこで、傷んだモルタルと腐食した木下地を撤去し、木下地から作り直しました。その後、外壁下地・ラスを施工し、モルタルを復旧しています。

このように、外壁のひび割れは「割れた部分」だけを見るのではなく、その場所に水が入る原因がないか、内部までどの程度傷んでいるのかを確認することが重要です。

表面のクラックをきれいに埋めても、水が入り続ける原因を残したままでは、再び同じ場所やその周辺に不具合が現れる可能性があります。

長谷川塗装工業では、ひび割れを「埋めて隠す」のではなく、なぜそこが傷んだのかまで考えたうえで、必要な範囲の修繕を行います。

クラックの状態によっては、エポキシ樹脂を直接注入して補修します

すべてのひび割れで、モルタルを大きく撤去して補修するわけではありません。

クラックの状態や下地の傷みを確認したうえで、エポキシ樹脂をクラック内部へ直接注入して補修する場合もあります。

写真は、実際の現場で「スムースエポ」を使用している様子です。

スムースエポは、注入式のガンから材料を直接押し出し、クラック内部へ注入していきます。

表面だけを覆ってひび割れを見えなくするのではなく、クラック内部へ補修材を入れていくのがこの補修方法のポイントです。

ただし、どんなひび割れでもエポキシ樹脂を注入すればよいわけではありません。

先ほどの事例のように、クラックから水が入り、周囲のモルタルや木下地まで傷んでいる場合には、傷んだ部分を撤去して下地から修繕する必要があります。

ひび割れの幅だけで補修方法を決めるのではなく、クラックの深さ・周囲の状態・水の侵入・下地の状態などを確認したうえで、その場所に合った補修方法を選ぶことが大切です。

写真は、実際の現場で「スムースエポ」を使用している様子です。

注入式のガンからクラック内部へ直接エポキシ樹脂を押し込み、注入後は表面に残った余分な材料を拭き取って補修します。

モルタルを大きく削って補修する方法とは異なり、既存の外壁の肌を大きく壊さずに補修できるため、クラックの状態によっては既存の模様を残したまま補修することができます。

ただし、すべてのクラックにこの方法が適しているわけではありません。周囲のモルタルが脆弱になっていたり、水の侵入によって下地まで傷んでいる場合には、先ほどの事例のように下地から修繕する必要があります。

ひび割れは「埋めれば終わり」ではありません

モルタル外壁のひび割れは、見た目が同じようでも、原因や内部の状態はそれぞれ異なります。

エポキシ樹脂の注入で対応できる場合もあれば、モルタルを撤去し、その奥の木下地から修繕しなければならない場合もあります。

大切なのは、最初から補修方法を決めてしまうのではなく、「なぜ割れたのか」「どこまで傷んでいるのか」を確認してから、その建物に合った方法を選ぶことです。

また、技術的にできる補修をすべて行うことが、必ずしもお客様にとって最善とは限りません。

建物の状態だけでなく、ご予算や今後どのくらい建物を維持していきたいのか、これからどのようにメンテナンスしていくのかまで話し合ったうえで、現実的な修繕方法を一緒に考えていきます。

モルタル外壁のひび割れについてよくある質問

Q. 細いひび割れなら放置しても大丈夫ですか?

細いひび割れだからといって、表面だけのクラックとは限りません。

実際の現場でも、表面ではごく細いひび割れに見えていても、少し削って確認すると内部では大きく割れていたケースがあります。

幅だけで判断せず、発生している場所や方向、深さ、周囲の状態なども含めて確認することが大切です。

Q. ひび割れを見つけたら、すぐ外壁塗装をした方がいいですか?

必ずしも全面塗装が必要とは限りません。

部分的な補修で対応できる場合もあれば、既存塗膜の劣化なども進んでいて、補修とあわせて塗り替えを検討した方がよい場合もあります。

また、水が内部まで入り下地が傷んでいる場合は、塗装より先に下地の修繕が必要になります。

Q. ひび割れにシーリング材を塗っておけば大丈夫ですか?

ひび割れの状態によってはシーリング材などを使用することもありますが、すべてのクラックを表面から塞げばよいわけではありません。

原因や内部の状態を確認せず表面だけを塞いでも、再び同じ場所が割れたり、別の場所に症状が現れたりする場合があります。

まず「なぜ割れたのか」「どこまで傷んでいるのか」を確認してから補修方法を考えます。

Q. モルタル外壁のひび割れ補修はいくらくらいかかりますか?

補修費用は、ひび割れの長さだけでは決められません。

エポキシ樹脂の注入などで対応できる場合と、モルタルを撤去して下地から修繕する場合では、必要な作業や費用が大きく異なります。

長谷川塗装工業では、建物の状態を確認したうえで、ご予算や今後の維持計画についてもお客様と相談しながら、必要な補修範囲を考えています。

モルタル外壁について、さらに詳しく見る

モルタル外壁は、ひび割れだけでなく、表面の仕上げや既存塗膜、下地の状態などによって必要なメンテナンスが変わります。

ジョリパット・リシン・吹き付けタイル・スタッコなど、仕上げの違いや塗り替えについては、下記のページでも詳しく解説しています。

羽村市・西多摩で外壁のひび割れが気になる方へ

長谷川塗装工業では、羽村市を中心に西多摩周辺で、モルタル外壁のひび割れ・クラック補修、外壁塗装、下地修繕などを行っています。

「このひび割れは放置して大丈夫?」

「補修だけで済むのか見てほしい」

「塗装まで必要なのか分からない」

「以前直した場所がまた割れてきた」

といった段階でもご相談いただけます。

表面に見えているクラックだけで判断せず、必要に応じて周囲や下地の状態まで確認し、部分補修で対応できるのか、下地から修繕する必要があるのか、まだ経過を見てもよいのかを考えます。

最終的な施工方法や範囲については、建物の状態だけでなく、ご予算や今後の維持・メンテナンスについてもお客様と相談したうえで決めています。